今更のようだが、最初の一文字にふさわしい「空」の字について成り立ちを調べてみた。
穴+工
工を鑿(のみ)と解釈し、鑿であけた穴という意味から、何もない空間を表わす空の字が出来たとする説がある。
虚空の点穴から全てが生じる気と実のシステムがあらわされていて、まさにと唸ったが、さらに興味深い説を見つけた。
それによると、工の字には「鑿あるいは差し金」の他に「ゆるく弧を描いたアーチ状の物」という意味がつくことがあるそうだ。
虹などぴったりだ。空を行く7色のアーチ。
空の字の中の工が示すゆるいアーチとは、地球の持つ丸みが各自の意識を中心に知覚された時、大きな弧にゆるんだ姿だ。それを包むように、天に穴が広がっている。この説が書かれた記事には、元々空とは穴そのものを意味していたとも書かれていた。
穴とは言わば視界の抜け道であり、視力の届かぬ所。
そして空とは思考の抜け道であり、人智の及ばぬ所。
我々が立つゆるいカーブを抱いて、いつもそれが在る。
無いが在るのだ。