《引け目控え目》
前回記事の終わりに「誇る裏に、引け目あり」と記した時、
「そう言えば、引け目って面白い言葉だな」
と、気づいた。
本日記事ではそのことについて書かせて頂く。
語源について調べてみたら、
引け目の引けは、引けを取るの引けに同じ。
と出て来た。
そしてこの引けは元々は「退け」なのだと言う。
戦で後退や撤退をすることを「退く」と表現することから来ている様である。
退くことは負けることに繋がり、負けは劣ることに繋がる。
そうした見方から、引けを取るは負けることや劣ることを意味する。
引け目に感じると言うのも劣っている、つまり負けていると感じることと言う意味を持っている。
人と比べて劣っているだけでなく、弱みや欠点のことを引け目と言ったりもするらしい。
弱みや欠点は負けに繋がるとする考え方があるなら、この引け目も戦と関係することになる。
勝つ為に行う駆け引きの引きも、同じ仲間だそうだ。
生きることは戦いだと言う、弱肉強食スタイルの体験積み上げが各種の“引表現”を生んだのかと面白く眺めた。
勝負においての負けを意味しない引け目も存在する。
現代ではあまり見られない使い方だが、目立たないように自分の言動などをおさえることやその姿、つまり「控え目」とほぼ同じだとする解説もあった。
控え目なら美徳の様な雰囲気を持ち、引け目なら後ろ向きな感じになるのは興味深いことである。
控え目も「負けて勝つ」みたいな結果を作ろうとする、退くことを駆け引きに使う戦術になっているのかも知れない。
これらとは別にとても面白い、これまで見たことのなかった引け目の意味があった。それは、
穀類・液体などを他の容器に移すとき、量目が減ること。また、その量目。
と言うもの。
己の中では全力や満杯であるものが、
人の器に入れたなら足らないものであるだろうと言う、
それぞれの器の違い。
これを意識した結果感じるのが、引け目なのだろうか。
じゃあ、入れたら余る時には何て言うのだろうか。
そして、人の器って何だろうか。
引け目から始まって、今度は器に興味が湧いた。
それについては次回記事にて書かせて頂くことにする。
増えると減るを作るもの。
(2024/3/4)