《ちからとはたらき》
前回記事で取り上げた資料では、力について、力を使って説明している部分がかなりあった。
今回は平成中期に小学館から発行された日本国語大辞典で「ちから」について調べてみる。
ちから【力】 名詞
1 他に作用する筋肉などのはたらき。人や生物のもっている物理的なエネルギーの作用をいう。
2 人の精神的なはたらきをさしていう。気力。精神力。
3 物事に作用するはたらきかけや、その結果をさしていう。
㋑ある目的に向かっての集中したはたらきかけ。骨折り。尽力。努力。
㋺何らかの期待をもって、よりどころとするもの。頼みとなるもの。よりどころ。恩恵。
㋩あるはたらきかけをした影響、結果。おかげ。効果。ききめ。
4 そなわっているさまざまな能力を具体的にさしていう。
㋑総合的な能力。
㋺事に当たっての勢力。いきおい。
㋩身につけた学力。学識。
㊁身につけた地位や立場による威力。
㋭身につけた資財による勢力。
5 静止している物体が運動を開始し、等速運動している物体が加速度を生ずる原因となる作用。加速度を表すベクトルと質量との積に等しい。また、エネルギーまたは仕事率を表わす語につけることもある。
6 弓師が弓を作る時、けずり落とした木・竹のくずの一握りの量。
こうして並んだものを眺めてみると、「はたらき」や「はたらきかけ」と言う説明が多い。
はたらくことによる「影響」「結果」「おかげ」「効果」「ききめ」がある。
つまり前回出て来た源泉から発生する流れにある、効果からの結果とそれによる恩恵や功績は、はたらきやはたらきかけがあった後の動きと言うことになる。
はたらく⇒効果⇒結果⇒恩恵・功績等
源泉から効果が生まれるまでの間に「はたらき」「はたらきかけ」があることが分かり、流れについてさらに詳しく知れた。
それにしても、上記の流れ全てを「ちから」と表現出来るとは、ちからとは何と便利な言葉だろうか。
そしてどれとも、完全にイコールである訳ではない。
ちからがはたらく、と言ったりする。
この時、ちからとはたらきは別になる。
水が流れると言う時、水と流れが一緒でないのと、同じことである。
ちからは、様々なものに言い換えられることで表現されるが、どれとも全く同じにはならない。
何気なく使っている、ちからと言う表現がこれ程不思議なものだったとは、何と面白いことかと感心した。
何にでも含まれるが、何にも縛られない。
これって、何かに似ていないだろうか。
次回は「力」の語源について紐解き、その何かについても書かせて頂くことにする。
語の源に観る、ちから。
(2024/1/15)