《からならす》
この夏、様々な建造物について調査し、ものによっては実地で観察もすることを続けていた宮司。
それと同時に、百歳超えをした方々の多くにも親しまれている、植物の栽培によって育みかつ育まれる関係を味わう、共生する楽しみについても意識を向けて調べ、発見を続けて来た。
一見すると、まるで違うテーマ。
その為、当初は四方八方に散るヒントを追っかけては捕まえ、こっちに向かって来るものはキャッチしと、ワーワーしていたのだが、次第に
「あれ、こことここ、通じているな」
と、なる瞬間が増えて来たのは面白いことである。
最も分かり易い共通項は、どちらも
地なくしては成り立たないこと。
畑の準備としてまず耕すことが必要なのと同じく、宅地や庭を作るにあたってもまず地均しが必要になる。
土地の凸凹を平らかにする動きが、そのまま形になった漢字がある。それは
築
上の部分だけ見ると、筑。
築も筑も音読みは、両字の冠として付いている竹と同じチク。
筑とは竹製の楽器を表す字なのだと言う。
字の上にある竹で「竹製の」下の工と凡で「地面を叩く動き」を表し、これを合わせて、叩くことで音を出す竹で出来た楽器となる。
筑に木を足して築とすると、楽器は道具に変わる。
竹と木で出来た道具で土台を固める動きを表し、意味も「土を固める」「土台を作る」に変化する。
土台作りと言うと、まずは土に目が行く。
その為か、築の字について調べるまで竹の部分に注目することはなかったので驚いた。
しっかりと盤石に固めよと言う土台作り。
その前の地均し。
そうした全ての動きの始まり、出元には竹があったのだ。
竹の中には空がある。
軽やかに立ち、平らかに建てる。
(2024/9/5)