《仮面の告白》
「一体何だってこれなんだ」
そう言いながら席に着いた時は、分かっていなかった。
上とのやり取りでは、珍しくもないことである。
それこそ一体何のことだと言う話なので、ご説明申し上げる。
調べる必要のあること、まとめる必要のあること、出かける必要のあること。
あることないこと混ぜて騒ぐのに熱中する不覚社会は割と暇なのだろうか。
こちらはあることだけを積み上げても、身の丈を越しそうな勢いである。
そうなると背を伸ばす他ないので、合わせてぐんぐん成長中。
誠にありがたいことだがそんな積まれたものから一旦手を置いて、観ろと言う。
しかも何回分もあるものを。
“これ”が言われただけであり皆様に必要とは限らないが、分かったことを記事に書かせて頂くので、まずはこの番組の概要をご説明申し上げる。
芸能やスポーツの分野で名を知られた、顔を見れば多くの人が「○○さんだ」と分かる人物。
そうした人々が仮面で普段の姿を分からなくして何人も登場し、ステージで歌を披露する。
パネラーや観客は舞台上の人物が誰なのかを推理する。
演者同士で人気を競う勝ち抜き戦でもあり、敗者は仮面を外して正体を明かす。
少しずつ数を減らして最後に勝ち残った一人が、勝者の証である金の仮面を手にする。
と言う、シリーズもの。
2もある。
海外で人気だったプログラムを国内版に焼き直した、ネット配信で視聴する娯楽作品である。
マスク、と呼んでいる彼らの顔を隠す覆いは仮面より被り物と呼ぶ方が相応しい気がする。
だが不覚社会的には下の画像の様な状態も「仮面」らしいので、前後左右くまなく頭部をまるっと隠す感じも仮面だとして構わないのだろうか。
頭部と書いたが、実際はこのバッタの人も、シンガー達も全身を覆っている。
仮面部分とライダー部分に分けていないとしたら、 どっからどこまでが面なのだと言う話だが、とにかく何もかもを“仮”で隠している。
勝者の証ゴールデンマスクも仮面と言うよりは面の付いた棒みたいな形状の、トロフィー的な賞品である。
諸々奇妙で「また訳の分からないことをやったもんだ」と、作品に添えられた説明を眺めながら腕組みをした。
上から本作品を観る流れを示された当初は、てっきり根を詰め過ぎずにたまには息抜きでも、みたいな申し出かと勘違い。
「遊んどる場合か」「計何時間あるのだ」となったが「まぁ、ずっと今だしな」の理解が瞬時にそれらを掃ったので、席に着いた。
そんなこんなで落ち着いて観ることしばらく。
「あっ、これか」となる場面を前にして頷いた。
覚めないことと、仮の面を着けることは似ている。
ところが、全身を“仮面”で覆って普段の姿を失くすことによって、より自由になる姿を見たのだ。
これは面白い。
そう感じた瞬間、矢継ぎ早に理解が訪れ、その見事さと奥深さに思わず口笛を吹いた。
それについては木曜記事にて書かせて頂くことにする。
余談だが、本日記事の題名はそのまんま「仮面が告白するもの」を指しており、名作とされる昭和の小説とは関わりがない。
上からタイトルを示された後、関係があるのかと読んでみたがあまりにも「自分」「自分」のオンパレード。
とても上手なものだったが途中でもう十分となり、後は飛ばして終わりのみ確認した。
何しろ長い繰り返しだったからであり、その裁断については上から全く止められなかった。
現時点で読み解きに必要ないものと、言うことだ。
上手い下手では留め置けぬ時代。
(2022/8/22)