《綻びる優》
当宮記事で以前、
これから様々な場所で、「上手くやったつもりがそうでもない」とか、「そしてそれが割と高くつく」と言った場面が出て来る。
と、申し上げたことがある。
大きな規模で言えば、
「人間社会を便利で快適にする為にして来た開発が、ずっと凍って固まって居てくれると思っていた地面を溶かし、そこから出て来るものにワーキャーと怯える」
中程度の規模で言えば、
「白い肌の人達の便利で快適な生活に役立てる為に、遠方から連れて来た黒い肌の人達に対し、役立てようとした方が恐怖し混乱し訳の分からない乱暴を働き、結果不便で不快な状況に陥っている」
小さな規模だと例えば、
「美食と言う概念を武器に仕事をし、美人とされる容姿の妻を娶り、何の不足もなく上手に世渡りしていた様な男が、世間が呆れ返る醜聞によって面目を失い逃げ隠れする」
他にも世を見渡せば数え切れない程、こうした暴発や崩壊があっちでもこっちでも起きている。
大忙しの不覚社会。
不覚社会の常識マニュアルに沿うだけで何の問いもなしに暮らして来た人々は、「世の中どうなっちゃってんの?」と思うかも知れない。
かねてより当宮にご参拝の皆様には繰り返し幾度も、
「エゴが肥大させて来た古い価値観や慣習にエネルギーの供給がされなくなって崩れ出していること」や、
「不覚社会の予定調和を支える安全装置が既に外れていること」
を申し上げているので、ちゃんと内容を腑に落として来られた方々にとっては、只今はそうして知っていたことの答え合わせの時期になっているはずである。
話半分で受け取り、
「取りあえずここに目を通しておけば」と気休めの安心材料にされて来た方や、
「たまに笑える所があって楽しいから」とエンタメ感覚で欲しい所だけ摘まんで来た方や、
「世間一般とちょっと違う自分と思っておく為の味付けになる」
とネタ探しに利用されて来た方にとっては、
世の中で起きている騒動は「読んで来たこと、マジだったんだ」と気がつく切っ掛けになる。
切っ掛けがあっても尚、
「やっぱりエンタメで遊びたい」
「予定調和大好き」
「直接肌に触れる位波が荒くなったら動くと思う」
「すっごい波が来たらもう飲まれちゃってもしょうがない」
となる人々は、何ら変わることなくそれぞれ似合いのものを受け取るだろう。
世の変化を観察していて特に感じるのは、優遇の綻びである。
何につけ「上手いことやれて」いた人は世間のどこにでも居るが、それらは往々にして「他の自由意志を封じて」行われている。
自他は無いんだから、あたしの言う通りに動け
と言う変てこな主張を、念力で通して来たのが「上手いこと」。
新世界で最も変な動きが、
相手の自由意志を無視した行い。
上手いことやって来た人々は、そうした行いをする“手癖”が染みついているので止めることが難しい。
注目中毒にもなっていることも多く、多少の炎上は寧ろ生きる糧みたいになってこれからも派手に、気づきの切っ掛けを提供してくれるだろう。
気に入ったものだけ掻い摘んで見られる真実はない。
少しでも「個の我が喜ばないかも知れない事実でも構わないから丸ごと見たい」意志のあられる方は、これまで大好きで「いつか自分も」と夢見て来た不覚的優遇が限界を迎えて崩壊し出していることを、世の起こりを通してお認め頂きたい。
優遇の綻びから、零れ落ちる人々を通して。
そしてあちこちで拡がり続ける綻びから出来た穴を通して。
優遇の残骸が虚空の風と共に去る時、
澄み渡る世界を目の当たりに出来るのは、
優遇を掴むことを卒業出来た人々である。
風に吹かれて去る空は無し。
(2020/6/15)