《永久の先》
この所、あるものが浮かんでは「フフッ」と楽しい気分になっている。
「フフッ、永久凍土…」
今となっては“永久のはずだった凍土”だろうか。
以前にも書いた永久凍土の融解が加速しているらしい。
人類は何を永久凍土と呼んでいたのかを調べると
2年間以上にわたって温度0℃以下の土壌や地盤。
全然永久じゃない。
現実重視の人々は、「自然界で永久に定まる状態はないぞ」と気がついた時点で、かれこれ半世紀以上前から多年凍土と呼んでいるそうである。
そこらへん別に隠しておいた訳でもないだろうに、ロマン重視の人々によって、
「永久に凍ってるなんて神秘的で素敵じゃん?」
と、今日まで呼ばれ続けて来たのだろうか。
それもう“きっと永久だよね凍土”とか、“永久であって欲しい凍土”じゃないかと呆れていてふと、お目にかかる機会のある方に以前お話した、不覚結婚式で誓われる永遠の愛について思い出した。
「平均余命からして、向こう3、40年の愛を誓う」
晩婚化も進んでますし。
とかでは、場が全然盛り上がらないから、
「ここに永遠の愛を誓う」
とやっている訳で、地面の呼び方にしたって
「この見わたす限り広がる氷の大地はまさに永久凍土ですな!」
と盛り上がって、採用してみただけなのだろう。
永久も永遠も、
呼ぶだけ呼べたって、
不覚には理解出来ない。
地球の陸地面積の約2割を占めると言われている、永久じゃなかった凍土には温室効果ガスとなるCO2やメタンを含む大量の炭素が内包されている。
それは、人類の新たな文明を支える貴重な資源にもなり得るし、人類を含む多くの生物にとって生命活動を難しくする要因にもなり得る。
諸刃の剣、みたいな書き方をしている記事も見たが、
「地球にあるものはみんな人類の為に用意された武器」
と当たり前に見なすやり方が、人類を順調に地球に蔓延らせ、そして行き詰らせ、追い詰めている。
凍土には炭素だけでなく様々なもの、細菌やウイルスも含まれている。
そのことを聞いて、「何が出るかな?」と久しぶりにとてもワクワクしている。
これが冒頭の「フフッ」と楽しい気分になっている理由である。
当たり前だが至福にあると、盛り上げたいとか運を良くしたいとかの狙いを持って「ワクワク!」を使う必要がない。
意図なく、只歓びと共に静かに、端の見えない途方もなく大きな波の様に、やって来るワクワクは楽しい。
感謝が溢れ出し、お祝いムード。
地球の変化によって出て来たものを祝えないなんてことがあるだろうか。
人類のヤンチャ加減など地球にとって承知の上。
「地球ヤバいかも!」
「でも経済止めらんない!」
等で混乱したまま盛り上がっている未練がましい騒ぎは、眺めているとまるで、
改造ベビーカーで暴走する、皺くちゃの幼児。
脱輪注意。
この歪み尽くした未成熟に、凍土の眠りから覚めた生命達はどう作用するのだろうか。
非常に興味深く、
益々目が離せない。
人工の永久が、溶けた先には。
(2020/6/11)