《気分転換》


暦の上では既に秋。
 
気候的にもそんな気配を感じる様になった。
 
涼しさで過ごし易くなる一方、新年だった頃は遠くなりにけりで、そろそろ今年に飽き始めている方もおられるのではないだろうか。
 
かと言ってまだ、年の瀬の慌ただしさを感じる程でもない。
 
最も意識が停滞し易い時期と言える。

 


日々まるで変わらない様に見える環境や、それに伴う心境に飽きてボンヤリした時には新しい風を通す必要がある。
 
ここ数年、9月始めは学生の人達が学校もイヤだし生きるのもイヤとなる件で、心配したり励ましたりの動きがあれこれ見られ、変わった風物詩となっている。
 
完全にこじらして息も絶え絶えなら、そりゃ多少の静養も必要。
 
しかし、「何となく」位で始める立てこもりなら日の浅い内に、静養が要る程のこじれなら少し落ち着いた後に、どちらにしてもなるたけ間を置かずに風通しを良くすることが大切である。

 


 「やる気なし状態、
 
3日続いたら

お電話下さい。
 
日本気分転換協会です!」
 



意識や家に立てこもる人々のことを、憂う人々相当数居るにも関わらず、こうしたサービスがないのは何故か。
 
訳の分からない頼もしさ、豪放磊落さと言う点から上の人物をイメージキャラクターとして置いてみた。

陽気な快活さで行けば、下の人物達でも良さそうだが、作文を沢山こなして集中力がスカスカになった時なんかに見ると、どっちがどっちなのかもう分からない
 


日気協の仕事は多岐にわたる。
 
と言うか、人の数だけすることが違う
 
気分転換は同情や、憐れみからの親切とは違う。
 
気分転換を提案する者と、される者との間で、その力や価値などに差はない
 
まずその「差はない」ことを相手に分かって頂かないと、気分転換必要な行き先が、例えばこんなに綺麗な朝焼けの海かどうかが分からない。


差はない
 
そこを踏まえて、「ちゃんとしてる奴からダメな奴への」「普通の人から普通じゃない人への」「恵まれてる方から可哀想な方への」
 
施し
 
と言う、馬鹿馬鹿しい偏見を片付けて、真っさらな意識で相手の話を聴く
 
本音での話が相手から発せられるまで、自分の話はちゃんと引っ込めておく
 
そうした基本かつ必須なはたらきが出来ない者には当たり前に、まともな支援は何一つ出来ない
 
必要な行先は、綺麗な夕焼けが楽しめる観覧車かも知れないのだ。

 


 「どっちだって良いんじゃないですか?
綺麗なもの見に、連れてってあげるんだから」
 
と言った、世迷言を吐く抜け作は当宮の境内にはよもや居ないだろうが、そんな人物に遭遇したら出せるアクションは黙って手の甲にシッペである。
 
若しくは高速回転の観覧車に乗せる。
 
観覧車一つとっても、朝、夕、晩。


全て見える景色は違うのだ。

 


意識の中や、家や、慣れ親しんだ環境に立てこもる理由だって、真っ直ぐに向き合えば、こもる人の数だけあることが分かる。
 
現状、そうやって真っ直ぐに相手と向き合える者が、さっぱり増えないので日気協の様なものも存在していないのだ。
 
よく間違えられるが、気分転換気休めは異なる。
 
気分を転「換」するには、「換」気が必要。
 
換気の為に窓を開けて取り入れるのは、どんな空気か選べない外気である。

 


気を休める為に人が手を出す、自我が聞きたい答が満載なだけの、自己啓発や精神世界に関するガイドブック等のお勉強

 

同じく、楽しい興奮が「お約束」された趣味や娯楽

 

それらは、『○○高原の美味しい空気』の入った缶詰を買って来て、開けて部屋に撒く様なもので、外気を取り入れたことにはならない。
 
停滞した空気の中で、生きる実感や意味が色褪せて、自宅でビバーク遭難気味
 


そこまで行かなくとも、

 

「な〜んか、落ち着いてるのはいいけど、

 

ハッとなる気づきも進化したって実感も、

 

そう言えば止まっちゃってるかも」
 
と、なられている方々にも、あらゆる方にとり新しい風は必要である。

 

「飛ばされないよう気をつけろよ!」
 
さて、未知の体験を呼ぶ新風を招く前に、まずは旧い気分かたすのが先となる。
 
今月は、日気協から藤岡弘、の到来を待たずして旧気分の昇華に役立つふろくをご用意した。
 
お役立て頂ければ幸いである。
 

爽やかに、新しい季節へ。

 

 

8月のふろく 《旧気分回収ボックス》

 

ご用意頂くもの:色のついた鉛筆やペン(数は自由)

赤と青の花火に囲まれて、昇華される準備が中央の円内に出来ています。

 


ご自身の中に停滞している既に古くなった気分があれば、色のついた鉛筆やペンを使って円の中にお描き下さい。
 
言葉として書いても結構ですが「自身でも説明のつかない何か」は、気分に応じた色と思いのままに引く線の方が表し易かったりします。
 
何であれ、ご自由にお描き(書き)込み頂いた後に、四つの角を中心に向かって畳み、中央に角同士を集合させます。
 
次に、このピンクのひょうたんを適当に切り抜いて糊を付け、中央部分に貼って封をします。

 


出来上がった‟回収ボックス”を全母に捧げます。
 
シュレッダー又はダイナミックに手で裂いて、虚空に還して下さい。
 
手で裂く場合は、書き込んだ面にも糊を塗っておくと、細切れにし易くなります。

 

(2019/8/29)