中々に長くなりました。

 

あいすみませんが週末のひと時にでも、飽きない程度に区切る等されて、丁度良い感じにしてご覧下さい。

 

来週の記事は、本日ご紹介する学びの実践用ふろくも入れつつ、なるたけあっさりと仕上げます。

 

では記事へ。

 

 

 

《じゃない(ほう)レッスン》

 

先日、ひょんなことから乗り込んだ電車で目にした中吊り広告。

連休に向けて、世のお父さん方に「野球観戦はどうですか?」と勧めるもので、ポーズをとった笑顔の選手の横に書いてあったのが

趣味:子育て

世の、子育て中なお父様方が見て、

すげぇ~。

 


野球選手としてきっちり結果出して、

家族を養うだけでちゃんと自分の仕事してんのに、

趣味は仕事に耐える為の気晴らしにする自分の楽しみじゃなくて、子育て

俺には真似できねぇや、恰好いい~!

 

 

に、なるだろうと狙って成立した広告なら、西武の広報担当者はジジ、いやおっさんなのか。

おっさん目線なら多分これは、素敵な広告だ。

この選手を好きな女性達からも、視界に“ファンの欲目フィルター”がかかっていることもあって「まあ素敵」なんて声も上がるかも知れない。
 
しかし、子育てに日々半端なくエネルギーを注いでおられるお母様方からすれば、

「 はあ!?!

こっちゃあ普段、年中無休で、出来なきゃ失格出来ても普通のハードルを、

 

クタクタでもズタボロでも毎日毎日越えて越えてひたすら越え続けてんだっつーの!

 

 


それを趣味?俺なら趣味程度で出来るってか?

それとも年棒も発生しない仕事は所詮趣味ってか?

気が向いたとこちょちょっと手出しただけで、そこそこ何かやった気になりくさって、

 


育児を舐めるな!」

となられても、不思議はない。

一応申し上げておくと、宮司は男性の味方でも女性の味方でもない。

なので、この広告の「何の悪気もない一言」みたいなものに、

家庭を営む男と女の間に横たわる、
深すぎる認識の溝

 


を、まざまざと見たことは間違いないが、どちらの意見にも傾かず只「あちゃ~」となっただけである。

まぁ、女性側からの呪詛には少しばかり震えた

広告に向かって吐かれた念が引っ掛かっていたのだろうか、先程並べた一連の“お言葉”の様な熱が、ブワッと巻き上がりこちらに迫って来た。

何の眼鏡もかけていないのに3D。

 


怒りが飛び出る広告って画期的だが、それで試合を観に行く人が増えるかどうかは不明である。

この出来事を切っ掛けに、夫婦にせよ親子にせよあらゆる対になる関係は、互いに「じゃない方」への学びが必要だと再確認した。

大人とは、「自らが置かれている立場じゃない方」への理解慈しみがある存在であり、大人にならなければ、いがみ合戦は卒業できない。

じゃない方レッスンで、あるなら参加してみたいものがこちら。

『人事の加藤さんと行く、お仕事疑似体験ツアー』


元々はがサクッと送って来た断片的なビジョンで、たまに取り出してお目にかかる方々にお伝えしたりしていた。

連休の、ちょっと手の空いた所を活用して、改めて受け取った情報を丁寧に聴き直し、ちゃんと組み立てたら面白いツアー模型が仕上がった。

何故、加藤さんなのかは分からない。

宮司の知人に一人も「加藤さん」が居ない為、「只今遠い人の代表」として、来たのかも知れない。

このツアーでは、世の様々な会社に勤める方達が普段どんな仕事をしているかを見学し、疑似体験する。

会社勤めの御亭主がおられる奥様方は「夫がしているのに極めて近い仕事内容」を、事前アンケートに答えることで選べる。

 


そのツアーで、「普段、朝になると忙しそうに出かけて、夜になると疲れて戻ってくる人」が、どんな風に過ごしているのかを大まかに知ることが出来る。

眩暈がする程の大忙し。

上司からの理不尽な叱責

 


他の部署からのとんだ無茶振り

束の間の休憩

納期。

締め日。

ノルマ。

 


様々なものを一口ずつだが、たんと味わえる。

何で『人事の…』がついているのかと言えば、ツアーの目玉として加藤さんの仕事も疑似体験出来るからである。

 


体験版なので10人から20人の社員リスト、彼ら一人一人の家族構成や、勤続年数、社内実績、健康状態等の細かな情報資料が付いたものを受け取る。



「それを参考にリストラするしないを決定し、数を半分にして下さい」

 

今、ご自身の目の前にそのリストが置かれたら、どうだろう。

休日もない主婦業をなさっておられる方々。

 

確かにそれは激務だ。

 


しかし、「人の生活が一変する何かを言い渡す」「これまで続けて来た働きを断る」ストレスって、あるだろうか。

ことによれば同期の。友人の。恩人の。人生を大きく変えるかも知れない場面に立ち会うのだ。

加藤さんに限らず、人事と言う役割を引き受けた人々は皆それをしている。

単純に切る、のでなくどれだけ天意からの愛送り出せるかが重要となる。

こうした、時に重く時にきついと感じるだろう仕事をも、世の会社人は、特に男性が主導して「だって仕事だから」と、黙々とこなしている。

 

 


女性達から見たら愚かに感じられるかも知れない男性達の鈍さ。

その理由には、長年「だって男だから」の枠に押し込めて来た為に、感覚が麻痺している点が、含まれることもお忘れなく。

 

世の中には、家では妻で母、外では人事担当者と言う、“スーパー加藤さん”も居るだろう。

 


だが、そんな(かた)にとっての「じゃない方」だって存在する。

大人のキッザニア等、「今してる仕事を選んでなかったら…」な企画はあるが、「じゃない方」の存在に対し理解を深めるツアーはまだ見たことがない。

しかし、「じゃない方」への理解慈しみがなければ、何の仕事をしたところで、大人にはならないのだ。

 

反対側も見てみよう。

(2019/5/10)