《開城》

 

“夢のお城でお買い物…”


ちょいと立ち寄ったスーパーで、かかっていた曲である。
 
この歌詞が先日ふと意識に舞い戻り、夢の城にも利益や不利益が行き交う“お買い物”はあるのだなぁ、と頷いた。



目に見える場所だけでなく、人は皆、自らの意識の中に夢の城を持っている。


自分だけで、好きなように構築できる別世界。


それはそれで結構なのだが、何かしらで「そこの平和が壊れた時」に、反動で実生活に影響が出たりする。

それを気づかせてくれたのが、一昨年に起きた『福山事変』だった。

 


2015(ブレイコー)だよ 福山結婚

語呂合わせにしてみたが、多分試験には出ない。
それにこれで行くと、あの年起きた全てのことが無礼講になってしまう。

少々寝かせ足りない題材だが、本日記事の締めくくりで申し上げることについては、既にそう悠長なことを言ってられない時期に入っているらしいので書かせて頂くことにした。

この事変で「何かもうやってられないんで仕事休みます」な女性が大量発生したと聞く。

アミューズの株価が下がったり、「○○ロス」ブームの牽引役となったり、


何かと忙しい福山周りを一時、観察していたことがある。
不思議に感じる点があったからだ。

人は何故、思い入れがあると言っても実際にはほぼ接触する機会のない他者の動向に、喜んだり悲しんだり出来るのか。

そしてそれが実生活の滑りを悪くする程、影響を出したりするのか。

読みの浅い時には「可能性という宝くじ」をエネルギーで買っていて、それが外れたショックで凹んでいるのかと思っていた。

だが、もっと差し迫った、もっと確実な不利益があるはずだ。

 


そうも感じて再三に及び、ましゃ付近に意識を巡回させ、しばらくして

 

「…あ〜!!」

 

という瞬間を迎えた。

人が持つ、目には見えない自分城の存在に気がついたのである。

 


ラピュタが見えた者でもこれ程驚きはしないだろう位、 「あ〜!!!」 となった。

つまり、お城の中には部屋のドアがいっぱいあり、その一つが福山ワンダーランドの入口になっていた。
そこに、出入りできなくなったと。

閉め出された訳じゃなく、只、開けると目立つ所に 『でも、嫁が居る』 書かれた横断幕が下がっているので、もう開けたくないのだ。

 

 

 

確かにそれは、大打撃だろう、と深く頷いた。


思い入れ度合いによっちゃ、ワンフロアー全体が福山ワンダーランドになっている城もあるだろうし。

○○ワンダーランドは他にも沢山ある。

 

二次元の誰それワンダーランドだって可能だし、理想の自分ワンダーランドなんかどの城にでもあるのではないだろうか。

造りや部屋の内容は違っても、城への思い入れは各端末総じて半端ない。

 


不自由が蔓延するこの世で、たった一つ完全な自由がある場所に思えるから。


その自由はあるようで、実はない。

何故なら城の各フロアへ案内する受付に座っているのがエゴだからである。


城自体は中立な存在で良くも悪くもないが、城を分割意識エゴを守る要塞にするのではなく、受付には暇を出して、誰が訪れても歓迎できる只の豪勢な館にしてみることは必要である。

どんなお部屋を作っても、「なんちゃって」精神を忘れず気軽に楽しめば、素敵な娯楽になるのではないだろうか。

難攻不落の城にまで増改築して、そこに閉じこもって隠れていると、外を流れる全一の気配からどんどん取り残される

 

夢のお城を枕に討ち死に

そんな笑えもしない事態に陥っても、何の不思議もないのである。
 

落城の前に開城。

(2017/5/8)