《 S.O.S? 》
「そう言えばSOSって何の略なんだろう」
ふと閃いて調べてみると、何と元々は
意味がなかった
のだと言う。
かつて遭難信号として使われた「・・・ーーー・・・」。
SOSはこれを表す為に通称として設定された三文字で、先に何か文言があってその略としてまとめられたのではないそうだ。
聴いてみた印象はプププピーピーピープププ。
この謎の音にあてた文字が何でSOSなのかは不明とのことだったが、
言葉の意味より音の響きが優先された
と言う点は面白い。
理論の前に感覚。
「これ」「それ」「あれ」「どれ」を、認識し分類し把握する前に、まず音を感じている。
音と、音に宿るいのちを感じている。
海上で遭難した時の信号としてSOSが使われていた頃、伝えたかった意味は2つ。
簡単に言うと、
一大事です!遭難しました!
と
他の皆さんシーッ!静かに!
となる。
周辺各局が通信を止めることで、一大事が起きている地点で何がどうしてどうなっているか、分かり易くなるのだ。
重要なメッセージを受け取るにあたっても、エゴのお喋りは鎮める必要がある。
こうした意味から、Suspend・Other・Service(他の通信は沈黙せよ)又はStop・ Other・ Service(他の通信は停止せよ)でSOSだとされたりもしたが、
タイタニック号の沈没等歴史的事件を切っ掛けに、"Save Our Souls""Save Our Ship"でSOSと言った、意味の後付けも生まれた。
魂を救いたまえとか、御神体を象徴する「船」を救いたまえと言った願いも合わせて、SOSは一気に浸透。
他の名称も幾つかあった中でSOSの支持は厚く、今日まで「助けてと言えばSOS」の様になっている。
海の救助システムは日々進化し、現在はSOSの使用を卒業している。
それでもこのシンプルな信号は、「誰かに助けて欲しい」不覚の意識達にはやはりとても魅力的。
何かを何とかして欲しい人々によって、延々と発されることが続いている。
“SOS SOS ほらほら呼んでいるわ
今日もまた 誰か乙女のピンチ”
SOS現役時代の曲。結構楽しそうだ。
SOSが連日だったり、同時になんて来た日にゃ相当ごった返す。
助けて欲しい、とは尤もらしい言い方だが、「何とかして欲しい」などとはそれこそ何ともならない。
大体、「何とか」が一体何なのか当人すら分かっていない。
分かっていないまま、不覚社会では未だあちこちでSOS。
黙れ、いやお前が黙れと、どこまでも繰り返す綱引きが続いている。
「オーエス!オーエス!」
「オーエス、オー…エス、オー、エス?」
訳の分からない繰り返しをしてみたが、威勢のいい掛け声も救難信号も、「エネルギーの噴出」であることについては同じ。
当宮にお越しの皆様にはとっくにご承知のことだろうが、もうこの時期にSOSで騒ぐことはエネルギー漏らしでしかないのだ。
だからこそSOSも、既に信号としての役割を終えている。
エネルギーは、内側を掘り起こすのに注がれること。
出し惜しみや、様子見をしている暇はないし、意味もないことを申し上げておく。
助かるって、何なのか。
(2018/12/10)