《いちばんつよいおに》
「そう言えば、鬼は沢山居るけど、一番強い鬼って何だろう」
先日ふと、こんな問いが浮かんだ。
正確に言うと「いちばんつよいおに」と、へっぽこな感じのキーワードが上から降って来て、それを切っ掛けに「?」となったのだ。
「鬼」は「隠」から来る語で、鬼とは「この世ならざる超常的存在」だ、とする説がある。
鬼については当宮でも触れたことがあるが、鬼なる存在に本格的に取り組むと冊子が出来てしまう量の情報が湧いて出る。
「じゃあ、次回の母神祭テーマは「鬼」かもなぁ」
と笑ったが、実際有り得る話だ。
そうした根源的“鬼情報”でなく、冒頭の問いは
「伝説やお話、鬼呼ばわり、あれこれ含めて、
只今の物理次元で機能している鬼的存在の中で、
最も強いものは何だろう?」
と言う、素朴なものだ。
そこで思い出したのが、「鬼、退治されがち」と言う事実。
桃太郎の鬼も、鬼と言われた酒呑童子も退治されたし、青鬼は去るし赤鬼は泣くし全然強そうな感じはしない。
この存在にしたってしょっちゅう仲間に助けられ、2018では外から活力をチャージまでする事態に。
全然強そうではない。
妖怪的な鬼から離れて、現代社会にある鬼に意識を向けてみる。
鬼軍曹。
鬼コーチ。
「鬼=厳しい」となってから、こう言う存在が幅を利かせた時代もあった。
だが、透明性の高い時代になり、軍団も選手団も告発が可能になったり、変なごり押しが「何かバレる」様になったので、こうした鬼的存在もどんどん弱体化している。
家庭はどうだろうか。私的空間の為、概して社会的団体より透明性が低い。
「主導権取ったもん勝ち」となり、そこでしか通じないローカルルールも結構有効だったりする。
最強はやはり、鬼嫁だろうか。
只、それぞれ各旦那に向けてだけ最強の為、「TOP OF 鬼嫁」が全く決まらない。
うちの旦那を越えて他所の旦那衆も、そして彼らを含めた物理次元全体に、平等に恐怖を与える鬼嫁は見たことがない。
ピンポイント鬼は、いちばんつよいおに、とは言い難い。
それでも結構強そうなのは、鬼にプラスした「嫁」の字にも逞しさがあるからだろうか。
この絵本なんか旦那が鬼なのに嫁が勝つ。
じゃあこれかなとなりそうだが、こっちは別に嫁が鬼嫁じゃないのでノーカウントだ。
凄い力持ちで、只、家事をしないだけの気のいい嫁さんなのだ。
部下に、選手に、旦那に。
そうしたピンポイントな鬼達に意識を巡らせていて彼らを超える、広範囲に強い鬼が存在することを思い出した。
誰もその実像を見たことがなく、誰もそれを倒したことがない。
その鬼が、何かや誰かに敗れたと言う知らせは、未だこの次元に届いていない。
当宮調べによる2018時点で不覚社会最強の鬼は
疑心暗鬼
これに尽きる。
これ程人心に巣食い、しつこく猛威を振るうものもない。
と言うことは、内なる疑心暗鬼に向き合い、片を付ける時、
この世の鬼的存在が一切合切恐るるに足らぬものとなる。
素敵なお知らせではないだろうか。
暗い所も怯まず観察。
(2018/10/4)