《空に枠?》
宮司を名乗るこの端末が、目を覚ましたのは2013年。11月の末だったので本年暮れにはまるっと10年が経つ。
覚めて数年の“これ”であれば、この世の中の変わらなさに驚き呆れていたかも知れない。
だが人類史を観察すると、変化の速度は増し続けている。
そして虚空は行うと意志することを変更しない。
こちらもあらゆる展開を、感謝と共に観て感じて味わうのみである。
まるっとと言えば、この方々は20周年だと言う。
(C) ABC-A・東映アニメーション。
そしてこの度の新作は、モチーフが「空」であるらしい。
虚空と天空とを、まるきりイコールと結ぶことは出来ないが、晴れ渡たる空をイメージした方、光をイメージした方、そこに翼ある鳥と羽ある蝶をそれぞれイメージした方々が加わるそうだ。
かなりはっきりと虚空や光、自由や変容についてのメッセージが表れている。
そしてその空が「ひろがる」と言う。面白いことだと感心している。
「プリキュア」とは、「プリティー(PRETTY=かわいい)+キュア(CURE=癒す・治す)」を合わせた造語らしい。
癒や治には多分に「良かれ」の要素があるからか、このシリーズ作品そのものにはこれまで全くと言える程関心がなかった。
街中に大きく掲げられた広告を眺めて、
「不覚の人々は本当に、魔法が大好きだなぁ」
と感じて居た位である。
魔法みたいにパパッと鮮やかに、見る見るうちに効果を上げる。
そうしたものが皆好きだ。
このシリーズ作品を通して、人が意識にかけた制限の枠を地道に拡げて来た所もある様で、面白いことに本年初めて男性のメンバー、そして成人しているメンバーも登場するのだそうだ。
中心人物となる青い方もヒロインではなくヒーローを目指している。性差の限界を外す意味がここにもあるのかも知れない。
青を担当するキャラクターがセンターになることも新しい出来事らしく、こうしたことを知って膝を打ちつつ「では2023で継続している制限もいずれは解けるのか?」と興味が出た。
男性でも成年でも、皆さん一様にお目目パッチリ。
そしてスレンダーかつ手足の長いボディバランス。
背丈には多少の幅があるものの、横幅にはミスコン張りの制限がある。
細かな特徴も多様さを持つ雰囲気でいて、実際は違っている。
パステルカラーのデパート状態。黒や原色はほぼ無い。
ざっと見ただけだが歴代の登場人物の中に、引目鉤鼻や、面長、福耳、胴長短足、三段腹のプリキュアは見つからなかった。
只、その理由も分かる。
設けた基準に沿って優れていて好ましいとされる姿形のキャラクター達を、統一感のあるデザインで揃える。
こうした“視覚的報酬”が約束されて居なければ、そもそも不覚社会で注目や話題を集めることが出来ないからだ。
広い海に出るまでにプールで泳ぎを練習する様に、制限付きの環境で体験を重ねて、少しずつ意識拡大を進めて来たのかも知れない。
20年かけたその歩みから、不覚と地道について学ばせて頂けたこと、感謝している。
一歩一歩進めた結果、男でも女でも成人でも未成年でもと言う拡大まで成したのなら、やがて身体的特徴の枠も超えるのだろうか。
ちっちゃなお目目やひろがるお鼻と言う、少しずつの慣らし方などして。
それともお約束に忠実な手技の及ぶ範囲でと、拡がる程度に留まるのだろうか。
興味深いことである。
無限の空映す時、
空に何の枠なし。
(2023/2/9)