の巡り》

 

 

“この所、不覚社会で長寿とされる年数を生き、これまでの人生に満足して今この瞬間を楽しんでいる人々について知る機会が増えている。”

 

月曜記事にて、この様に申し上げた。

 

そうした中のお一人について書かれたものを読んでいて、あっと驚きつつ同時に納得したのが、その方が

 

旬のものを多く召し上がる

 

と言うこと。

 

常に生き過去や未来に捉われないことにも

 

「素晴らしい!」

 

と拍手したものだが、今この瞬間以外のイメージに影響されない意識状態と、旬のものを食べると言う行動体験は相関している。

 

巡って来る機会に逆らわずそれを活かす、流れに沿った生き方である。

 

 

とは何かを言うなら「まさにその時」が相応しい。

 

 だが、不覚フィルターを通すと面白い乱反射が起きる。

  

異なる意味が生まれ、3つに分かれるのだ。

 

 

 

1つ目はある季節が到来することを先取りで示す、言わば“はしり”としての旬。これは初物とも呼ばれる。

 

2つ目は収穫する量が最も多く、流通の勢いも増加する時期としての旬。

 

3つ目は素材としての旨味や栄養価が高まる、最も美味になる時期としての旬。

 

「今が旬!」

 

としたって、実際の内容はこんなに違う。

 

まさにその時、と言っても縁起良さとか珍しさが高まるのか、コスパが高まるのか、味わいが高まるのか、何を重視するかで変わって来る。

 

沢山収穫出来る時に丁度旨味や栄養も増している素材もあるし、少ない支出で買える時期には既に風味や栄養価は落ちている素材もある。

 

何でも一括りにと言う訳には行かない、と言うことは一つひとつ丁寧に見て行けると言うこと。

 

 

それはそれで面白いのだ。

 

そんな様々な意味合いを含んで賑やかな旬だが、日本に渡ってくる前は3つのどれとも異なる意味を持つ字だった。その意味とは、

 

十日間。

 

1か月を上旬・中旬・下旬の3つに分ける時の旬。

 

十干十二支でお馴染みの十干(甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸)で日を数え、十日で一回りとなるのを一旬いちじゅんと呼ぶ時の旬。

 

シュンでなくジュンと読まれる。

 

手を伸ばしてぐるりと回す形の中にを入れて、日々がぐるっと一回りするのを表すと言うの字。

 

元の字形は尾部を巻いた龍の姿を表し、これに後からを足して旬となったとする解説もあった。

 

にも周、普、遍などと同じ「あまね」の読み方があると知り、膝を打った。

 

とはある一時にしか現れないもの、言い換えれば限定的なものに見える。

 

だが同時に普遍的なものでもあるのだ。

 

今と言う永遠。

継ぎ目なき全。

(2022/9/29)

9月のふろく《旬観察メモ》

 

旬を記事に出て来た三つの意味を通して、よりきめ細かく観察するメモをこしらえました。

 

 

秋から冬にかけて召し上がる、その時期を旬と呼べるものをどれでも一つ取り上げて、じっくり観察なさってみて下さい。

 

左上は取り上げるものについて食材としての名前や銘柄、産地などをご記入頂く欄です。

 

右上にはこの時期これはどの意味での旬なのかを、書いて頂ける様になっています。

 

どの理由がより良いと言った判定は勿論、必要ありません。

 

丁度その時期、それがどの意味で旬にあたるのか、只それだけです。

 

下の四角い籠の中には、観察を経て気づかれたことや味わわれたことについて自由に書いて頂き、体験の昇華をお楽しみ下さい。