《芽と星》
ひょんなことから、冬に見ることが出来る植物の芽をガイドの方に説明を受けながら観察する機会に恵まれた。
一口に芽と纏めても、それぞれ違っていることは何となく分かっていた。
だが改めて解説されると、こんな点が違っていたのかと、明確になってとても面白い。
小さな芽を虫眼鏡で拡大してみると、ツルッとしているものあり、短く細かい毛が生えているものあり、柔らかな長めの毛に覆われているものあり。
表面だけでも実に様々。
花が入っている芽。
葉が入っている芽。
どちらも入っている芽。
こんな風に芽によって、中身にも違いがあるそうだ。
桜の木を前にして、花芽が開いてから葉芽が開く順序になっていると聞いた。
何だってそんなことになっているのかは分からなかったが、誰に教わることもなくどの桜もそうしていると言うのは改めて知ると見事だ。
色々なことが起こり得る自然界。
急に持ってかれることもある。
他の木の説明ではフライング気味に、葉の一部がピヨっと先に伸びているものを発見。
気温や湿度なども関係するし、理由も一切分からない場合もあるとのこと。
はっきりしていたのは、どの植物も伸び栄えようとしていること。
その為に出来る限りの工夫をしていると言うこと。
主となる芽に何かあった時に、代わりを果たせる予備的な芽を作っておいたり。
鳥や虫が食べないように、芽をベタベタする成分で覆ったり。
葉の根元の中に新しい芽を作って、葉がポロリと落ちるまで護られる仕組みにしてあったり。
花や葉を内包する小さな粒が果たす役割の見事さに、感心するばかり。
その数日後、今度はまたひょんなことから、満天の星を屋内で観ることになった。
地に満ちる芽と言う粒の果たす役割に意識を向けていたら、天に満ちる星と呼ばれる粒を眺めている。
不思議なことだと、席に着き、映し出される夜空に目を向けていた時。
とても静かに、起きているありとあらゆることについて、腑に落ちて行く感覚が生じた。
「あぁ、全てが粒だ……」
と、当たり前の状態に立ち返った。
同時に、芽に意識が向くまでは、ここ暫くずっと形に興味が行っていたことに気づき、
「かたちだけでは、かたちのことは解けないのか」
と、膝を打った。
すると、換気扇のスイッチが入ったように、入れ替わり立ち替わり新しい気づきが入って来る。
どの様な姿形をとっていても、全ては粒に分解される。
そして何も無い様に見える空間も、粒に満ちている。
改めてそこに気づかせてくれた、小さな芽と空の星に感謝する。
満ちて輝く、天意からの愛。
(2025/2/27)
《2月のふろく その1 粒観察発見メモ》
植物の芽もそうですが、物理次元には細かな粒に見える存在が沢山あります。
そのどれか一つに焦点をあてて観察し、それが果たしている役割や味わい深さ、面白さを発見するメモを拵えました。
右上の黄色い丸の中には、観察すると決めた粒(植物の芽、空の星、水滴の粒、シャボンの泡 etc)を。
周囲の細かい粒々模様のスペースは、形としてその粒を認識した時に分かる特徴、果たしている役割など、気づいたことを自由にお書き頂く所になっています。
次に、中心の真っ白な所に、あなたとしての観点を超えて、生ける虚空としてこの粒状存在を観察した時に、どう感じるか。
一段下の流れ落ちる滝の様な縦線の入った所には、全体一つの流れの中で、この粒がどの様な役割を果たしているかについて意識を向けて分かったことを。
一番下にあるピンク色の、ゆったりとした波の中には、そのはたらきについての祝福を、それぞれお書き頂ける様になっています。
粒を知り、観点を変えて感じ、発見し、祝うことは、そのまま全体一つの流れの中の一つの粒である、御自身へ向けられるものともなります。
《2月のふろく その2 春の地図》
調べれば容易く目的地までの経路が分かる時代になり、地図を手書きする機会は少なくなりました。
自ら記してみることで、道の面白さを肌理細かく知ることが出来るそうです。
春のお出かけ用に、地図を描き入れられるものを拵えました。
上の花びらに、場所や地域の名前を。
真ん中の四角には地図と、そこについての解説を自由に。
下の花びらが集まるスペースには、出かけてみてその場所について分かったこと、そこで体験した面白い出来事、感じたことなどについてお書き頂けます。
地図は、好きな様に編集が出来ないものです。
ありのままに、そこにあるものを脚色なく、誠実に描く時、モノコトを好みに沿って変えようとする癖が取れて行きます。
春と言う季節を楽しむついでに、気が向かれた方はこちらも楽しんでみられることをお勧めします。