《巳の歩み》
大雪だったり、大火事だったり、年明けから
「とにかくどうにかしなくっちゃ!」
と、とても滑らかとは言えない滑り出しが世の中には溢れている。
2025には、四肢のない巳になったかの様に「手も足も出ない」と感じる出来事も増えて来る模様。
それは悲しい事でも恐ろしい事でもなく、ただ単に
こう言う時、モノコトはどう展開して行くのか
しなやかな展開。
これを観察する機会である。
活かし方によっては、
流れを支配操作して好ましい結果に向けようとする癖を手離したり、
好き勝手な想像を使って繰り返して来た内なる戦いを終結させる、
素晴らしい機会になる。
蛇の移動方法に興味が湧いて調べて見た所、場所によって幾つかの方法を使い分けているそうだ。
蛇の腹部には、腹板と呼ばれる幅広の鱗がある。
この腹板を移動する面の凸凹におしつけて、それを「足がかり」にしながら、体を押し出して進むのだと言う。
腹板。
この方法は蛇行運動と呼ばれる。
蛇の動きを表現するのに蛇行とは、全くそのままな気がするが、これ以外の動きには蛇とついていない。
腹板を伸ばしたり縮めたりして、とてもゆっくりしたペースで進む方法を芋虫運動。
尾に重心を置いて、頭を前に伸ばしてから尾も引き寄せる方法をアコーディオン運動。
砂漠などで見られる横滑りするように動く、体が地面に着いている所が一番少ない方法を、横ばい運動と呼ぶ。
蛇からしたら「全部蛇行ですよ」となるだろうが、人間は
「わーこれとこれ、似てるね」
と発見するのが好きだし、
「色々あるものを区別しやすくしよう」
と工夫するのも好きなので、蛇行1蛇行2…とかではなく、こうした感じになる。
蛇行運動の説明に「足がかり」にすると書いてあって、「腹に足が?」と驚いた。
腹板を左右交互に地面に押し当てることで前進し、連続的に筋肉を使って移動する。
傍から見ると、四足歩行の様子が分かり易い生き物に比べて、蛇の移動はシューッと楽に行っている感じがする。
だが実は、蛇はとても地に足ついた存在なのだと気づいた。
只、足的な役割を果たす部分の丈が、えらく短い。
そして一歩がとても小さい。
この進み方を観察して、少しずつ、本当に僅かずつの連続でモノコトを成して行く味わい深さにも気づけた。
努力した、頑張ったと、感じない位の小さな小さな行動の連続。
それが如何に大きな変化を生むのかを体験することも、歓びに満ちた巳年の醍醐味と言える。
手出しせず、
地に足つけて、
柔軟に。
(2025/1/13)